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商業登記漫歩 平成23年3月22日号(41号)


◇ 東北関東の被災地の法務局の皆様、司法書士の皆様、謹んで震災のお見舞いを申し上げます。

  東北関東大震災から11日、テレビで被災地の現状を見る度に心が痛みます。史上最大の国難といわれる今回の大震災、特に東北の法務局・司法書士の皆様、頑張ってください。

◇ ところで、登記記研究755号に掲載された「カウンター相談220」の「いわゆる期限付きの解散決議による登記の申請について」お読みになりましたか。
  期限付解散登記に関する土手補佐官連絡(以下「土手連絡」といいますが、土手連絡は法務局の内部文書のため、その全文は承知していません。)がなされてから約4ヶ月、商事課長が日司連に期限付解散決議と登記の問題点等について説明されてから約2箇月、仄聞するところによれば、官報公告の取次所が、期限付解散公告について、アドバイスをしているとのこと(実質規制?)です。その結果かどうか分かりませんが、官報公告の文面から明らかに1箇月後程度の期限付解散の決議であることが判明する解散公告が姿を消しました。

◇ 公告例1
解散公告
当社は、解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から2箇月以内にお申し出ください。なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。
 平成23年3月15日
 横浜市港北区○○○丁目○番○号
    株式会社○○○
     代表清算人 ○○ ○○○

公告例2
解散公告
 当社は、株主総会決議により平成23年1月24日をもって解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から2箇月以内にお申し出ください。
 なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。
 平成23年3月18日
 島根県松江市○○町○○番地
    株式会社○○○○
     代表清算人 ○○ ○○


◇ 公告例1は、いつ決議がなされ、いつ解散決議の効力が生じたか判明しない公告(原文は「縦書き」。以下同じ。)ですが、このような公告が増えてきました。しかし、この公告でも、一応解散公告の要件(会社法499条参照)は満たしています。
 公告例2は、3月18日付の官報に掲載されたものですが、公告の文面からお分かりのように、期限付解散の決議ではありません。単なる公告の遅滞でしょうか。近頃は、このような公告例を結構見かけます。

◇ ところで、登記記研究755号に掲載された「カウンター相談220」(以下「カウンター相談」という。)は、期限付解散決議に関する土手連絡の「解説」と思われます。土手連絡では、「解散の日を数箇月後の日とする期限付解散の決議に基づく登記の申請は、受理すべきでないが、解散の日が株主総会の決議の日から2週間以内のものは、取引の安全を図るという会社法の趣旨に反することはないので、受理して差し支えない。」旨明言しています。
  ところが、実務上最もニーズのある「2週間を超え、2箇月内の期限付解散の登記の受否」については、土手連絡も、カウンター相談でも明言を避けていますが、カウンター相談の論調から判断して、2週間を超える期限付解散の登記の申請は、受理すべきでないというように解釈できます。しかし、土手連絡の「株主総会の決議の効力の発生を条件または期限にかからしめることは、法律の規定、趣旨または条理に反しない限り、原則として許される(最判昭37・3・8民集16卷3号473頁)」ところ、「株主総会が自由に期限付解散決議をすることができるとすると、定款で存続期間を定めたことと何ら変わりはないにもかかわらず、その旨を登記しなくてもよいことになり、存続期間を登記事項とし、これを公示することにより、取引の安全を図ろうとした会社法の趣旨に反する。」という論旨から判断すれば、ここでポイントになるのは、期限付解散の決議が存続期間の定めの定款変更の決議と法的に同様の評価ができるか否かだと考えます。経済界の実態と常識から判断して(当職も2法人を経営しています)、1箇月や2箇月の存続期間の定めはありえないものと考えます。このことは、カウンター相談が実務上最も事例の多い1箇月後や2箇月後の期限付解散の決議ではなく、官報公告にもほとんど例を見ない6箇月後の期限付解散の決議に設定していることからも明らかといえます。したがって、土手連絡は、2週間を超え、2箇月内の期限付解散の登記の申請の受否は、個々の事案ごとに登記官が判断すべきものとしていると解するのが当職の見解です。

◇ なお、前記カウンター相談は、昭和34年10月29日民甲2371号民事局長回答の登記研究145号27頁以下に掲載された「解説」(以下「登研解説」という。)をベースに理論を展開していますので、次回に、前記当職の見解と登研解説の関係及び本件の却下条項について述べてみることにします。(満)



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