商業登記漫歩 平成16年9月6日号(6号)

◇ 日本経済新聞を読んでいますと、「株式交換につき株券提出公告」や「簡易株式交換公告」が時々掲載されています。「株式交換」とは、どういう制度かご存知でしょうか。
◇ 株式交換とは、完全親子会社関係(親会社が子会社の株式を100%所有する関係)を円滑に創設するための制度で、たとえば、A株式会社がB株式会社を完全子会社(100%子会社)にしようとする場合には、A株式会社とB株式会社の代表取締役が「株式交換契約書」を作成し、この株式交換契約書について、A、B両会社の株主総会において、特別決議による承認等所定の手続を得れば、B会社の株主の有するB会社の株式は、すべてA会社に移転し、B会社の株主は、B会社の株式の代りにA会社の発行する新株の割り当てを受けてA会社の株主となる制度のことです。特別決議(原則として、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成があればよい。)による承認ですから、多少の株主が反対しても100%子会社は誕生します。

◇ この方法は、グループ企業の再編成に活用される場合が多いようですが、そうでない場合もありますので、企業防衛上も注意する必要があります。
  なお、完全親会社となるA社が株式交換に際して発行する新株の総数がA社の発行済株式の総数の20分の1を超えず、かつ株式交換交付金(株式交換に際し、交換比率等を調整するためB社の株主に金銭の支払いをする場合)を支払う場合において、その金額がA社の最終の貸借対照表によりA社に現存する純資産額の50分の1を超えないときは、A社は株主総会の決議ではなく取締役会の決議で足ります(商法358条)。これを簡易株式交換といいます。

◇ ところで、この方法のメリットは、A社はB社の株主にA社の株式を交付すれば足り、買収資金等が不要ということです。
  なお、会社が有する自社株をB社の株主に交付することもできます。(満)