商業登記漫歩 平成28年3月22日号(61号)

◇ 「各種法人の登記」に関する研修会、いよいよ今週からスタートします。
 「各種法人の登記」に関する研修会が、いよいよ今週からスタートします。第1号は、3月26日、神奈川県司法書士会、テキストは、拙著「完全マスター各種法人の登記Q&A」(東京司法書士協同組合発行)です。会員用漫歩720号でも述べましたように、当職の残りの人生の持ち時間を考え、元気なうちに、長年お世話になった司法書士会へのご恩返しに、「各種法人の登記」をマスターする秘伝を伝授できればと考えています。そこで、今年は、当職が講師を勤める各種セミナーも、各種研修会も、すべて「各種法人の登記」をテーマに実施します。なお、拙著に記載した法人数や法令数等に若干のカウントミス等がありますので、おって訂正しますが、今年は、同書をテキストに、全国を巡る予定ですので、よろしくお願いします。
◇ 今、なぜ「各種法人の登記」か。
 拙著の「はしがき」で、以下のように述べました。
「商業登記の対象となる商人は、5種類(個人商人、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)、その根拠法は、商法と会社法の二つ、登記の手続きについては商業登記法が制定されています。したがって、商業登記は、やる気さえあれば、定評のある入門書もあり、学び方に戸惑うこともありません。
 ところが、法人登記については、登記の対象となる法人の種類は、260種類もあり、その根拠法は195、登記の手続きについては法人登記法は制定されておらず、22の法令に分かれており、これらを体系的に解説した書籍は皆無に近い状況です。つまり、法人登記は、やる気があり、学ぶ気があっても、まず、どのような書を読み、どのようにして学べばよいか戸惑うのが普通です。加えて、法人登記は、登記の前提手続として行政庁の許認可を要する場合が多く、これは行政書士の業務とされています。ここにも法人登記のとっつきにくさがあります。仄聞するところによれば、司法書士試験の受験生も、法人登記の問題はせいぜい1、2問ですから、初めからこれを放棄し、他の問題で確実に稼ぐ方が合格の早道と割り切っている向きもあるとか。つまり、司法書士になる前から法人登記の苦手意識が醸成されているという気がします。しかし、この法人登記も、司法書士の一丁目1番地の業務です。たとえ事件数は少なくても、それが司法書士に独占的に認められた業務である以上、苦手意識は許されません。司法書士という看板を掲げ、司法書士という名刺をもつ以上、法人登記に通暁し、国民のニーズに的確に応えていく義務があります。
 そこで、やる気はあるが、その学び方に戸惑っている司法書士の皆さんに捧げる秘伝の書を東京司法書士協同組合のご理解を得て上梓することにしました。本書では、まず各種の法人を登記の手続法令に従って体系的に分類し、次いで260種類の法人について、Q&A方式で具体的にその登記のポイントを解説してみました。
 本書が、一人でも多くの司法書士の皆さんが各種法人の登記に関心を持たれる契機となれば著者にとって望外の幸せです。」。当職の意のあるところをご忖度ください。(満)